ドイツのオーガニックの定義とオーガニックコスメ事情
現在のドイツのオーガニック事情は?
オーガニックの基準が厳しいヨーロッパの中でも、最大のオーガニック大国がドイツです。オーガニック食品の市場では、米国に次ぐ第二位の売上高となっています。((普通のスーパーなどでもオーガニック食品の取り扱いが増えており、オーガニックスーパーの店舗数も年々増加しています。
Bio-Siegel認証
動物愛護や環境保全に対する意識が高いドイツでは、連邦政府によってオーガニック製品の厳しい認定が行われています。
Bioマークとして知られるBio-Siegel認証は、ドイツ連邦食品・農業・消費者保護大臣が認定するオーガニック認証マークで、2001年に制定されました。このBioマークは、国外の製品も含めたEU基準を満たすすべてのオーガニック製品が対象となります。
Bio-Siegel認証基準の概要
規定を一部抜粋すると、以下のような項目があります。
野菜
- 農薬や化学肥料等を使用しないこと
- 3年間基準を満たした土で栽培していること
- 基準を満たしていても3年経過していない場合はBIOと認定されない
肉・卵
- 家畜は狭い檻に入れたりせず、なるべく自然に近い状態で育てること
- ホルモン強化剤・肥育用補助剤・予防的抗生物質等の人工的な注入物を使用しないこと
- 与える餌も農薬・化学肥料等を使わずに栽培し、有機栽培によって生産されたもの
- 放牧飼育されている場合、家畜の放牧場もBioの認定が必要となる
加工品
- BIOの環境で育てられた農畜産物・素材を使用すること
- 合成添加物・化学薬品・加工助剤など使用せずに加工すること
- 保存料や着色料も使用不可
BDIH(ドイツ化粧品医薬品商工連盟)
1996年に世界で初めて自然化粧品の認定を行ったドイツの医薬品・化粧品団体で、自然原料、環境保護、動物実験などの厳しい基準をクリアした製品だけにマークの表示が許可されています。
BDIHの認定を受けている医薬品や化粧品は非常に安全性が高いとされ、とくにオーガニックコスメはヨーロッパで高い評価を受けています。
BDIH(ドイツ化粧品医薬品商工連盟)認証の概要
規定を一部抜粋すると以下の様なものがあります。
・入手可能な限り、有機栽培または野生群生の植物から抽出した原料を使用する
・野生群生の植物を採取する場合は、生態系に影響を与えないこと
・動物実験は行わず、動物からとった原料も使用しない(キトサン、カルミン、シルクは除く)
・乳化剤、界面活性剤は、植物脂肪、ワックス、ラノリン、プロテインなどを原料を物理的加工を加えた方法で作る
・合成着色料、合成香料、シリコン、パラフィン、その他石油製品、エトキシ化物質は使用しない
・天然成分で防腐する
・放射線などによる防腐加工は行わない。
・リサイクル可能で環境にやさしい容器を使用すること
・上記の基準を満たしているかどうか、ドイツの独立機関によって管理・記録される
参照:BDIH公式サイト
ヨーロッパのオーガニックの定義とオーガニックコスメ事情
現在のヨーロッパのオーガニック事情は?
アメリカと並ぶオーガニック市場の規模を誇るEUでは、有機栽培や有機加工食品などのオーガニック製品をBio(ビオ)と規定し、厳しい基準の認証を設けています。
ヨーロッパ有機認証(EUオーガニック認証)
EUオーガニック認証はオーガニック製品・原料の生産・加工・輸入・検査において、EU加盟国の統一基準を満たしていることを証明するオーガニック認証です。
ヨーロッパ有機認証の取得するためには、種子を育成する過程から農薬や化学肥料を使わず、環境と安全を配慮した生産方法と行わなければならず、この認証マークがついている製品は、世界の有機基準の中でもとくに厳しいとされている基準を満たしている、信頼のおける製品だといえます。
NATRUE(ネイトゥルー認証)
ナチュラル・オーガニック化粧品の統一基準を作る目的で設立された国際的非営利団体が、NATRUE(ネイトゥルー)です。
EC本部があるベルギーのブリュッセルに本部が置かれており、製品の製造方法はもとより、環境保護、動物保護などに関しても厳しい基準を設定し、ヨーロッパのオーガニックコスメの高い品質を維持しています。
団体の設立にはヨーロッパの化粧品メーカーが参画しており、「ドクターハウシュカ」「WELEDA(ヴェレダ)」「Primavera(プリマヴェーラ)」「Lavera(ラヴェーラ)」などのメーカーが立ち上げに参画しています。
http://www.natrue.org/who-we-are/members/
また、NATRUE認証を取得するためのの条件はNATRUEの公式サイトでも確認することができます。
http://www.natrue.org/fileadmin/natrue/downloads/Criteria_3.5/NATRUE-Label_Requirements_V3-5_JP.pdf
さらに、NATRUE(ネイトゥルー)ではオーガニック成分の配合率によって星の数で区分しています。
★★★NaTrueマーク
オーガニック認定成分の割合が95%以上
★★NaTrueマーク
オーガニック認定成分70%以上95%未満
★NaTrueマーク
オーガニック認定成分70%未満
アメリカのオーガニックの定義とオーガニックコスメ事情
現在のアメリカのオーガニック事情は?
1990年台のロハス(LOHAS)というライフスタイルから派生し、現在のオーガニックブームを作ったのがアメリカです。
90年代以前は食品を中心にジャンクなイメージのあったアメリカですが、発信力の高いハリウッドセレブなどがこぞってライフスタイルにオーガニックを取り入れ、マーケットも拡大の一途を辿っています。
エコスタイルの幼児グッズの会社「THE HONEST COMPANY(オネストカンパニー)」を立ち上げたジェシカ・アルバ。「化学成分を使わずに子供たちが安心して使える商品」をテーマに、いまや年商は300億円を超えるとされ、ハリウッドでのオーガニックの第一人者となりました。
アメリカのオーガニック認証
オーガニック大国となったアメリカでは、日本の農林水産省にあたるUSDA(農務省:United States Department of Agriculture)によって農産物や食料品などのオーガニック認証を行っており、その基準は世界でもっとも厳しいとも言われています。
USDA(米国農務省オーガニック認定)
USDAとは、米国農務省(United States Department of Agriculture)が管轄するアメリカのオーガニック認定基準です。米国農務省の基準によって認可を受けた認定機関のみが審査を行い、オーガニックと認定されると「USDA Organicマーク」を付けることが許可されます。
本来は農産物や食料品に対する基準を定めたものですが、アメリカではオーガニックコスメに対する明確な基準が整備されていないため、化粧品を中心としたコスメにも、このUSDA認定が採用されることがよくあります。
USDA認定基準の概要
- 3年以上農薬・化学肥料を使っていない耕地で栽培されたオーガニック原料を使用
- 100%有機栽培で育てられた原料を使用
- 水分と塩分を除き、重量ベースで95%以上オーガニック原料を使用